mirage of story







 
 
 
 
 
そして昨日、その指輪を持つ者に思いがけず再会。


神の気紛れか。
運命の悪戯か。
ロアルと彼女は再び出会った。







だが。
そんな絶好の幸運をまた寸前のところで取り逃がすという結果に終わってしまったのだ。


ロアルは、昨日のその光景を思い起こして悔しそうに、少しだけ唇を噛んだ。















(......早く見付けねば)



ロアルは未だ手に入れれない指輪のことを、頭の中に思いつつ村があったはずのこの場所を、隈無く.....隅々まで探り続けていた。




彼が探しているのは、指輪。
.......ではなくて、今彼が探しているのは頭の中に描いている指輪でも、その指輪を持つシエラの姿でもなかった。

そこには指輪を持つ少女とその仲間の追討を目的としながらも、軍を遣わずにライルと自分とたった二人でやってきた不可解な行動の理由があった。




確かにあのシエラという娘を捕えて、水竜の指輪を手に入れることも重要だ。
だが、それ以上に.....彼が捜している物の方が今の彼にとって、重要で。

今、探しているものを、他人に知られたくはなかった。 
味方に隠してまで、ロアルは今探している何かを必要としていた。











「....ッ!」



瓦礫の中を右往左往、歩き回っていたロアルがある一点を見つめて立ち止まった。

ロアルは、一つの積み上げられた瓦礫の山の前で立ち止まり口元に笑みを溢す。



視線の先には、もう見飽きる程に見てきた瓦礫。
と、その中に小さな輝きを放つ何かが見えた。





 

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