mirage of story

〜4〜









追う者と追われる者の逃走劇。


追う者の一人である漆黒の闇を持った男は、ライルが獲物を仕留め損なったということも知らずに一人、自らの手で崩壊させ消滅させたはずの村の瓦礫の中に居た。



















(......どこだ!?
一体、どこにあるのだ!)


ロアルは瓦礫の中を右往左往。
何かを探していた。







(......早急に見つけねば、せっかくのチャンスを無にしてまで、ライル一人だけを連れてきた意味がなくなるではないか───)






昨日、ロアルは長年探し続けているものを遂に見つけた。 





水竜の指輪。
強大な魔力を司る、魔族にとっての宝。

そしてそれは、ロアルが喉から手が出る程欲しているロアルの目的を果たすために欠かすことの出来ない重要な鍵。




一年前、それを手に入れる寸前まで、持ち込んだ。

長年の願望が、目的への一歩が踏み出せる。そう思ったのに。








思いがけないことで、歯止めをかけられた。

ロアルの今まで順調に進んでいたその野望に歯止めを掛けたのは、一人の娘。


しかもそれは、何とも意外過ぎる人物。
ロアルにとって、最大の障害となろう人物だった。



あの小娘の存在。
あの者の存在を.....抹消しない限り自分の欲望は叶わないことに一年前のあの時、ロアルは悟ったのだ。





 


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