「本当は私も不安だった。
母さんの声、あの一言だけしか聞こえて来なかったし......もしかしたら恐怖から来るただの空耳だったんじゃないかって」
「でも本当に助かったんだ。
凄かった.....光が一面にパアァッと広がって驚いちゃったよ。
まるで神様の仕業かと思った」
「私も、私も凄く驚いちゃった」
追われていた緊張感から解き放たれ、二人笑い合う。
「......。
でもあの力、何なのかしら?
もしかしたら本当にカイムの言うように神様の仕業かもしれない。
―――――でもあの力あの感じ.........」
笑い合う二人。
安堵の空気。
そんな空間に暫く浸りその後。
少しだけ静かな声になってシエラが零す。
「どうかした?」
「.......ううん、何でもない。
きっと母さんがこの剣には神様から授かった不思議な力を託したのね、私達のために。
もしかしたら、これから先も私達の道を切り開いてくれるかもしれない。母さんの、神の御加護でこれから先も守ってくれるかもしれない。
あれはきっと神の術、神術なのね」
ほんの少し静かになった口調。
そして途中で途切れた意味深な言葉にカイムは疑問を返すが、シエラはフッと首を振り笑みを深めてそう答える。
神の術。神術。
そんなものが本当に存在するのかは判らないが、二人にとってはとても心強いものである。
これからの旅には少しでも戦力が力が必要。
敵は魔族の王。
つまりは、国家。
それに対して、味方は今の段階ではシエラとカイムたった二人。
差が、ありすぎる。
まともに戦って勝つ勝算は極めて低くて、ゼロに等しい。
勝つためには、二人の想いを果たすためには緻密な作戦と奴等と戦い合えるだけの力と自分たちと同じ信念を持った仲間が必要不可欠だった。
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