そう言葉を放つと同時にライルに再び切り掛かる彼女。
ギイィンッ!
その剣をライルは振り向き様に受け止める。
「......そうだな、俺の目的はお前だった。
俺の剣が求めるはただ一つ、お前のその腐りきった穢らわしい命。
他の奴に、構う時間はない」
――――。
彼女の声と受けた剣に、標的は再び彼女一点に向く。
(───。
これで注意は私の方に向いた。
やるなら、今しかない)
フッ。
剣を交えたまま薄く微笑み心を静めた。
だがそれは間近で剣を交える彼にさえ分からないような微笑。
不安ではあった。
だがそれでも彼女は行動に走る。
「───.....」
シエラは祈るように剣に念じた。
声は無い。
ただ手に握り締める剣に言い聞かせるように、静かに強く"自分に従え"と。
――――......。
「何!?」
ブワアァァッ。
瞬間、シエラの剣から目の眩むような光が溢れた。
思い描いた通り。思惑の通り。
声を信じた彼女の祈りと念は届く。
辺りは光で埋め尽くされる。
世界が一変、光で色を失い真っ白になった。
―――。
まるで今まで周りに広がっていた世界が偽りだったように、白に包まれた世界はまるで無のようだった。
.

