mirage of story

〜2〜









影が重なった瞬間、二つの剣が十字に交わり唸る。 

攻めるはライル。
受けるはシエラ。

その力の差は歴然。
同じくらいの歳の男女が剣を交えれば、当然このような結果になる。
優劣は明らかだった。



ギイィィンッ。
乾いた空気に、金属音が響き渡る。











「昨日は邪魔が入ったが、もうそうはいかない。
決して逃しはしない」



獣染みた鋭い瞳が、シエラを捉えた。

鋭い瞳。低く禍々しい殺気を纏う声。
背筋がゾクゾクする。







「シエラ!」



―――!
そんな様子に行動を耐えきれなくなったカイムの剣が割って入る。

一対二。
優勢だったライルが互角へと引き戻される。










「ッ!」



ザッ!
ライルはその反動で後ろに飛び下がり身体が大きく振れた。

崩れ掛けた体勢をどうにか保った彼は、忌々しそうに割って入った邪魔者を見る。












「カイム.....すぐに逃げられるようにしていて」



シエラは小声で囁く。





「分かった。
でも危険だと思ったら無理矢理にでも手を出すから、いいね?」



カイムは、シエラの強い眼差しを信じた。
彼女自身さえも掴めない力に頼ろうとしている今。正直、不安すぎる。

だが、今は他に方法が見付からない。
逃げて脱することが出来るのなら、今この態勢の整わない状況で対峙するよりもずっといい。
今はこのシエラの言葉を信じるしかない。










「また邪魔をする気か?」



崩れた体勢をを立て直すライルの剣が、カイムへと向く。

―――。
その剣が彼へと攻撃を仕掛ける前にシエラが食い止める。

ザッ.....カンッ!
甲高い音が響く。











「相手は私のはず!
だったら私に集中しなさいよ」







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