二人の頭はフル回転で、この状況からの回避方法を考える。 

..........。
だがその間も、ライルは待ってくれる訳もなく近付いて来る敵の姿。 













(さぁ、どうする?

.....くそッ!
方法が思いつかない!)




迫る危機。
それとは裏腹に、何も思い付かない頭にカイムは自分自身に苛立つ。


こんな何にでも縋りたい状況であるほど、そんなに都合よく打開策は見付からない。
そう分かってはいるが、それでもどうにかしなければならない。















(.....こうするしかないか)



カイムは、そっと剣を構える。






「先に逃げるんだ。シエラ。

俺が食い止める。
必ずすぐに追い付く。だから、早く───」




逃げろ。
今はシエラをどうにかして安全な所に逃がさなければ。


カイムは、考えて考えて最後に出た苦渋の決断を口にする。
出来れば避けたい道だが、それしか思いつかなかった。














「.....嫌」


「え?」




自分の言葉に、シエラは確実に反対するだろう。

そう思ってはいたが、こうも早く反対されるとは思わなくて、つい気の抜けた声が出る。










「何言ってるんだよっ!
こんな時に変な意地張んなくていい。
だから逃げるんだ!」



「嫌だ!
一人で逃げるなんて、絶対に嫌。

誰かに頼り切って、自分は何にも出来なくてそのせいで誰かが危ない目に遭ったり傷ついたり。
そういうのは、もう嫌なの!」



シエラは一気にそこまで言うと、息が続かなくなったか一旦そこで言葉を切る。





「逃げるのならカイムも一緒だし、戦うのなら私だって戦う。

それじゃなきゃ、私....嫌だ」




自分じゃ何も出来なくてそのせいで誰かが傷付く。
今のシエラの言葉がカイムの胸に、じわりと突き刺さる。 





 

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