「なぁ、シエラ」
「?」
カイムは軽く後ろを振り向き、もう遠くてほとんど見えなくなったあの場所を見つめた。
「あの場所.......俺にとっても大切な人と来た思い出の場所になったよ。
また来よう。二人でこの場所に。
―――絶対に」
「........うん」
また二人であの場所へ行く。
それは無事に旅を終えて、生きてまた帰ってこよう。
そんな意味を持っていたのかもしれない。
また来よう。
そんな短い一言にこれから先の希望も願望も
全て籠められていた。
生きてまた帰ってくる。
シエラとカイム。
二人の間に新たな約束が生まれた瞬間だった。
約束は果たすもの。
だから、二人はまた帰ってくる。
絶対に、この約束の場所に。
ッ。
この二人交わした約束はこれからの旅の原動力となり二人の背中を押してゆくことになるだろう。
人は果たすべき約束が在ると強くなるものだ。
次にあの場所に行く時。
それは旅が無事終わる時。
.......。
いつか来るはずのその日を思い浮べながら、この約束の地を二人は名残惜しくも後にした。
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