悲しみや憎しみが無くならなければ平和は訪れない。
そのためにはその元凶を止めなければならない。
そう........その元凶、魔族さえ居なくなれば、この世界に平和の光が戻ってくる。
魔族こそが平和を乱す元凶。悪魔。
それさえ居なくなれば平和になるはず。
皆が笑い合える理想の世界になるはずなのだ。
「カイム?」
「....あぁ、何?」
「いえ、何かボーッとしていたからどうかしたのかと思って」
色々と考えているうちにいつのまにか難しい顔になってしまっていたらしい。
それに気が付いて急いで笑みを戻す。
「.....何でもないよ。
ちょっと色々考えてただけ」
カイムは笑顔をシエラに向けた。
ッ。
「―――。
さぁ......そろそろ行かなくちゃ。名残惜しいけれど。
この森から抜け出す道も探さないといけないしね?」
カイムの笑みがいたずらっぽい笑みに変わる。
「........何か私に対する嫌味に聞こえる。
ふふんっ。
でもね、カイム。道のことならもう心配ないわ!
この場所からならこの森を抜けられる!.....はずだから」
「また、"はず"なのか.........。
じゃあまだまだ抜けられそうにはないな。
シエラの"はず"は信用出来ないからね、ハハッ」
「あ、酷い。
今度は大丈夫だもん、っ!行こう!」
シエラは拗ねるように頬を膨らますと、急かすようにカイムの手を引いた。
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