mirage of story










シエラは前を行く男の背を追いながら、男の姿を改めてよく見てみる。




男の格好は深い紅色のマントに、たくさんの勲章のようなもの。
どこかの軍服な何かだろうか?
実際に軍服を着た人になどお目にかかる機会は、シエラのようなちっぽけな村に住む庶民には無いのだが、シエラはそう思った。


もちろんどこの軍の者かも分からない。
だがそれなりに身分が高い者だということはシエラが見ても分かった。





この男の出で立ちを見て、シエラの疑問はより深まる。










(何でこんな何もない所に軍人なんか?)



此処は、シエラの村の近くにある小さな森のその中。
周りにはその村以外は何も目立ったものは無く、此処に出入りする者は少ない。居るとしても目的は、木の実の採集やちょっとした猟くらいだ。



そんな中に、見たことのない軍服の男。
目的が木の実の採集だとか、そんなことではないはずだ。





シエラは目の前の男が何者かを探るため、さっきの男との会話を思い出す。








(あれ?)


思い出す。
すると、頭の中に何かが引っ掛かった。