昨日の話。
彼は部下であるライルを連れて城を立ち、任務を遂行するために遠くの地へと赴いた。
魔族を率いる王であるロアルが直々に赴く。
戦いのために、そして争いのために。
――――。
そう。
昨日彼は武力によって一つの村をこの世界から葬り去った。
それも村に住んでいた者ごと。
全てを消し去った。
人間の村。
ロアルにとっては人間など虫螻以下の塵同然の存在。
躊躇いや情など一切無かった。
.......。
人間は魔族中心の世界を築くためにはただの邪魔な存在でしかない。
邪魔なものは消す。
これが彼等魔族のやり方であり、それを行使する魔族の頂点ロアルにはそのことに対する罪悪感は存在しない。
(.........人間など、この世には必要のない存在だ。
奴等さえ居なければ、この世界は簡単に我が手に堕ちる。
........。
一刻も早く邪魔者を消さのばならぬ。
そうでなければ我が願いは叶わぬ)
ッ。微笑が浮かぶ。
冷酷な想いと暗黒の欲望。
二つが入り交ざった不気味すぎる笑みだった。
計り知れない悪寒が空間全体に迸る。
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