繰り返し聞こえる。
何度も聞こえる。
だが聞こえるだけ。
その瞳で逢いたい人の姿を捉えることは叶わない。
抱き締められない、触れられない。
――――。
ただ、ただ自分の名を呼ぶ声だけが聞こえる。
それだけの夢。
(.........)
だが彼にとっては、それだけでも十分だった。
夢の中でも構わない。
ただ名前を呼んでくれる、それだけでも構わない。
彼はそれだけでも、彼女とのルシアスとの繋がりが消えて無くなってはいないことをこの身に刻み確認することが出来る。
それだけで、とても幸せな気分になれた。
「ルシアス」
この夢がずっと、終わらなければいい。
夢の中でずっとこの幸せに浸っていたい。
そう思ってしまう。
『ライル.....』
聞こえてくる声にただただ耳を傾けた。
「.......ルシアス。
俺は必ず、お前の仇を討つ。
待っていてくれ。
そうしたら俺もきっとお前の元に行くからな」
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