シエラは強い。
本当に、強い。
彼女はいつでも自分の思いに真っ直ぐで、素直で前を向いている。
常に前に進もうとしている。
カイムはそんなシエラが好きだった。
恋人になりたいとか多分そんな感情ではなくて、人として仲間として彼女のことが好きだった。
(.......俺はこの仲間とシエラと共にこれから先生きて行く。
二人共に願う―――想いを叶えるまで)
これからの旅は長い長い旅になるかもしれない。
決して楽ではない。
平和を戦いから勝ち取る旅だから。
復讐を誓った旅だから。
辛くて、苦しくて絶望して生きてることすら、嫌になるかもしれない。
想像すればする程に見えない未来が怖い。
何も見えない暗闇の中、無防備な一歩を踏み出すように怖い。
―――――。
だけれどそんな怖さとは裏腹に彼には彼女と一緒であればどのような未来でも乗り越えられる―――そんな根拠の無い確信があった。
遥か先にあるはずの旅の終着点。
二人の願いの終着点へ、二人でなら少しずつだが近づいて行ける気がした。
自信はない。
でもカイムの中には揺るぎない程の確信があった。
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