(...........今、シエラはこの状況を前にして何を思っているのかな?)
身体を半分起こしたまま何処かを見つめる彼女。
カイムの居る場所からはそんな彼女の綺麗な横顔しか見えない。
ッ。横顔から零れる表情。
それは哀しみか、苦しみか。
それとも魔族に対する憎しみなのだろうか。
........。
何れにせよ彼女にとって良い感情ではないだろう。
カイムは思った。
ッ。
(あ....)
見つめる彼女の横顔。
綺麗な横顔。
そんな彼女が突然にこちらを振り向く仕草を見せた。
ッ。
何故かは判らない。
だがカイムは咄嗟に目を閉じて寝ているふりをした。
(.....俺、何で寝たふりなんか)
目を閉じてしまってからそう思った。
だが一度閉じてしまった瞳をまた開けるのも不自然に思えて彼はうっすらと目を開けてシエラの様子を見る。
(シエラ)
薄く開かれた視界。
覆い被さる睫毛の隙間を縫って彼女の姿が彼の瞳に映る。
カイムは想像していた。
彼女はきっととても哀しくて辛くて苦しくてどうしようもないような表情をしている。
もしかしたら泣いてるんじゃないか、そうとも思いほんの少し身構えていた。
――――。
なのに。
.

