mirage of story

 
 
 
 
 
 
「―――はい、あります。
どんなことがあっても、ルシアスを守りたい。それが俺がルシアスに出来る、一番のことだから」




ライルのはっきりとした声が、部屋の中に響き渡った。

ライルが王を見据えるその瞳には、何にも負けない強い意志があった。
キラキラと、ライルの深い青い瞳は輝いていた。






「.....それがお前の本当の気持ちだね?

ルシアスのためにお前は、たくさんのものを失うことになるかもしれない。
それでもそれでも気持ちは変わらないね?」




ライルは頷いた。





「そうか。
ライル.....お前なら、そう言ってくれると思っていたよ。

―――これで安心してこれを渡すことが出来る」





そう言うと、王は手探りで懐からまた何かを取り出した。

そして、その何かが入った手をゆっくりと開いていく。





「これは.....」



そこにあったのは、指輪だった。


それもついさっきルシアスが受け取ったものと、とても似ている指輪。 

作りも形も似ている、その指輪。
でも一つだけ淡く輝く光の色が違っていた。 



ルシアスの指輪は、澄んだ蒼色の光。
ライルの前へと差し出された指輪は、深い紅の光。