mirage of story

 
 



 
「.....うん、ありがとう父様!
―――私、大切にするね」



ルシアスの小さな手が、指輪をしっかりと握り締めた。






「さぁ、もう行きなさい。
私は今から、ライルと大切なお話をしなければならないからね」




王は優しく笑った。





「うん!
じゃあ、ライル。先に戻ってるからね?」



ルシアスは、ライルの方に目を向けると満面の笑みで言った。





「あぁ....うん、分かった」





ルシアスはライルの返事を確認してから、王とライルに背を向け部屋を後にした。

ライルの見つめている、ルシアスの後ろ姿。
その姿が、何故かいつもよりほんの少しだけ大きく見えた気がした。