mirage of story

 
 
 
 


――――パァァ.....。

 

その瞬間、まるで指輪がルシアスと共鳴し合うかのように光り始める。



そしてその光はゆっくりとルシアスを包み込み、やがて静かに消えていく。

それは、ほんの一瞬の出来事だった。





「―――何.....今の」



ルシアスは何が起こったのか分からないようだった。周りを見回して、きょとんとした顔をしている。


何が起こったのか分からない。
それは、その光景をすぐ近くで見ていたライルも同じであった。








「―――やはり....」



と、この中で唯一今の状況を理解している王が口を開いた。






「.....やはりお前には、この指輪を扱えるほどの強い魔力があるんだな。
これで、はっきりした」




王はそう言うと、にっこりと微笑んだ。そして、優しい瞳でルシアスを見つめる。







「その指輪はお前のものだよ、ルシアス。

決してその指輪をなくしてはいけないよ。
それはお前自身であり、世界の安息の鍵でもあるのだからね」





この指輪はルシアス自身であり、世界の安息の鍵である。
王のその言葉の意味は、ルシアスにもライルにも分からなかった。


だが、この言葉には何かとても大切な意味があるのだ、ということが幼い二人にも感じることが出来た。