王のその言葉に、ルシアスは一瞬顔を上げた。
だが、またすぐに下を向き動こうとはしない。
さっきの二人の言葉で、相当拗ねてしまったらしい。
こうなってしまったルシアスの機嫌を戻すのは、大変だ。
「あぁ...さっきはすまなかったよ、ルシアス。
だから、いつまでも拗ねてないでこっちにおいで?」
王は優しい声で言う。
しかし、まだルシアスは黙ったまま。
なかなか強情な姫である。
その様子に、王は一回大きく息をつき....何かを決意したような声色で言う。
「―――ふぅ.....おいで、お前に渡したいものがあるんだよルシアス。
ほら、誕生日プレゼントだよ」
ルシアスは、プレゼントという言葉に敏感に反応して顔を上げた。
「.......プレゼント!?何なに、父様っ!」
ルシアスの顔は、さっきまであれだけ拗ねていたのが嘘のように一気に明るくなっていた。
さすがは親だ。ルシアスの手懐け方を王はちゃんと分かっていらっしゃる。
ルシアスの反応に『全く.....調子のいい奴だ』と、王は呆れ気味に笑う。
そして、ルシアスを手招きして近付かせる。
「さぁ、ルシアス。
手を出してごらん」
王は懐から何かを大事そうに手に取ると、そっとルシアスへと差し出した。
そしてルシアスの小さな手は、しっかりとその何かを受け取る。
「なぁに....これ?」

