mirage of story

 
 
 
 
 
「―――うん、分かったよ.....ルシアス!」



互いの口から紡ぎだされる互いの名前。
その響きがやけに心地よかった。


そして、二人はそのまま暫らく笑い合った。

どんな時も一緒に居られるように。そんなことを願いながら。





      -----





そう。ルシアスへプレゼントしたあの花は、ライルとルシアスの出会いの花だった。





(.....忘れるなって言ったの、誰だよ)



ライルは、そう思いルシアスを見た。

ルシアスはまだ、ふてくされているらしく....ムッとした顔をしている。
同い年の自分が言うのもおかしいけど、まだまだ子供だなとライルは思った。





その二人の様子をしばらく、微笑みながら見ていた王が、ここで口を開いた。




「お前たちは、やはり仲が良いのだな。
お前たちを見ていて、これからする話をする.....本当の決心がついたよ」



王は、にっこりと微笑んだ。





「―――さぁ、では本当の話を始めよう。

まずはルシアス....お前からだよ。少しの間、待っていてくれるかな?ライル」



王は、視線をライルに向けた。
一方、視線の先のライルは静かにうなずく。 



そして、その様子を見た王は、まだ拗ねてむくれているルシアスの方を向いた。




「さぁ、ルシアス。
もう拗ねるのはやめて、ちょっとこっちに来なさい」