ライルは目に入る何もかもが珍しくて、辺りをきょろきょろと見回す。
幼くまだあまり外の世界を知らなかったこの頃のライルにとって、この広いお城の中はまるで別の世界のようだった。







「.....あれ、何だろう?」



色んな物に興味津々のライル。
そんなライルはグルリと周りを見渡して、ある一点を見つめ視線を止めた。






その視線の先にあったのは、草や木や花がたくさん咲き誇っている広場のような拓けた場所。
そのあまりの美しさに、つい目を奪われてしまった。


そしてライルはそのまま、何かに惹かれるようにその広場のような場所の中へと足を踏み入れる。





(―――綺麗なところだなぁ....ここ)



差し込む光に、咲き誇る花。
何だか、この場所だけが神秘的な力で隔離されてしまっている。そんな感じがした。




ライルはゆっくりとこの美しい世界に馴染んでいくように歩いていく。
ゆっくり、ゆっくりと歩を進めてちょうど真ん中辺りまで来たところで、ふと自分以外の誰かが居ることに気が付いた。






(―――誰?)




フワリとしたオレンジがかった茶色の長い髪に、白いワンピース。
顔は後ろを向いているので分からないけど、多分ライルと同い年くらいの女の子だろう。

初めは彼女はこの美しい場所の一部のように見え気が付かなかったが、そんな女の子がそこに居た。



その子はライルには気がついていないようで、ライルに背を向け地面に座り込み何かをしているようだった。






ライルは何だかその子の姿に惹かれて、気が付かない間にその女の子のすぐ後ろまで来ていた。




「....ねぇ、何をしているの?」



そしてライルは、勇気を出してそう声をかけてみた。