「シエラー!シエラッ!
どこに居るんだッ!?」
だいぶ村の奥まで来た。
だが、ここに来るまでシエラどころか他の誰とも会っていない。
ここにはもう、誰も居ないのだろうか?
カイムは、そう思い始めていた。
「――――ん?」
そう思い始めた矢先、遠くの方から人の声が聞こえた気がして、カイムは声の聞こえた先を見据えた。
(......シエラか?)
カイムはゆっくりと、でも着実に声の聞こえた方へと足を進めた。
....ッ。
最初、聞き間違いかとも思ったが聞き間違いではなかった。
やはりこの先に、人が居る。
しかも、一人ではない。何人かの者が居る様子だった。
その声の元へ、カイムは警戒しながらゆっくりと近付く。
一歩。また一歩。
声はカイムが近付くにつれて鮮明に聞こえるようになっていく。
そして。
(―――ッ!?)
声に続いて、剣か何かの音が聞こえた気がした。
誰かが、この先で戦っているようだ。
(まさかシエラじゃ....)
カイムは全身に嫌な予感を感じ、その音の元へと足を早めた。
「―――お前ら人間さえ居なければ.....アイツはっ!」
男の声がした。
その声からは、言葉では表せないような悲しみ・怒りが伝わってくる。
おぞましい声だった。
........カンッ。

