mirage of story

 
 
 
 


 
カイムはその煙に、ただならぬ予感を感じて急いでシエラを追い掛け、走り始めた。






(さっきシエラがあれだけ急いでた理由って....これか?)






さっきシエラがあれだけ急いでいたのは、あの煙を見つけ、何か危機を感じたからかもしれない。
そうだったら、シエラのあの青ざめた顔も....納得出来る。







(―――この近くにあるものと言えば.....)    






火事が起こっている。
そう考えて、一番に思い浮かぶ場所といえば.....




シエラの故郷。

皮肉にも、それくらいしか....思い当たらなかった。












「.......急がないとまずいかもな」







もし、火事が起こっている場所がシエラの村だとすれば.....たとえどんな状況でも、シエラは村の人たちを助けに行くだろう。



そうなればシエラの身だって、危なくなる。






(シエラを助けないとな)








助けなければ。

ただその思考だけが頭を巡った。


―――だって、シエラはカイムにとって、大切な仲間なんだから。





カイムはそんな仲間への思いを胸に、シエラの元へと急いだ。















風の吹き抜ける丘を走り抜け、ようやく村らしき場所へとカイムは辿り着いた。





(――――これは....)







やはりさっき見えた黒い煙は、この場所から出ていた。
家などは皆焦げ、辺り一面は焦げ臭い匂いで満ちていた。




中からは...人の気配は感じられない。








(シエラ、こんな中に居るのか!?)