mirage of story

 



 
 
 
唐突にその森から出てきた何かは、だんだんこちらに近づいてくる。

急いでいるのだろうか?
物凄い速さで走っている。










(.....村の人か?
だったら村の方まで案内してもらおう。こんな暗いんじゃ、道もよく分からない)



カイムはそう思い、近づいてくる人影に声をかけた。









「あの.....―――!?」



カイムは、ハッとした。
出かかった言葉を思わず詰まらせた。


その理由はその近づいてくる人影が、予想外の人物だったから。
まさか.....でも、有り得ないことはない。

その人影。
それは紛れもない、シエラの姿。
 
 
 
 

そう、有り得ないことなどでは決してない。

だって此処は.....彼女の故郷なのだから。
彼女の本来居るべき場所だから。