あぁ........この国は、きっと良い国になる。
誰も声には出さなかったけれど、今この時誰もがそう確信した。
生き残り今此処に居る者。
争いによって命を失った者。
.......そして運命に翻弄され、この世界から去った者。
全てが。
そう全てが、この新しい国の未来に輝かしい光を見た。
タッ.......。
「そうよ、皆で創るの。
この国の未来を皆の未来を、この世界の未来を」
彼女も―――もう一人の王、新たなる女王シエラも未来への光を見た。
ッ。
唐突に現れたその影と声に、全ての視線が彼女に集まる。
「皆、ごめんなさい。
少し準備に手間取ってしまって」
一点に集まる民の視線。
そしてライルの瞳も、その方へと向き彼女の姿を映し出す。
「シエラ........」
瞳に映る彼女に、ライルは無意識に彼女の名前を呟いた。
「何?何か私、変かしら?」
思わず見入ってしまった。魅入ってしまった。
ライルは彼女の名前を呟くだけで、それから言葉を失ってしまっていた。
「..........いいや、全然変じゃない」
「そう?
それならいいのだけれど」
不思議そうな顔をする彼女。
.

