かつて共に軍門を下った仲間達。
その数は先の戦いでだいぶ減ってしまったが、それでもこうして今この時にこうして共にこの世界を者達が沢山居る。
今この時に笑っていられる者達が沢山居る。
三年前にもしも負けていたなら、世界が壊れてしまっていたなら全て失われていたはずのもの。
当たり前に目の前に広がる光景。
そんな光景に感謝せずには居られない。
「..........新しい国が誕生した今、やらなきゃならないことは沢山ある。
私は―――いや俺はまだまだ若造で本当は王になんてなれる資格は無いんだ。
王としての人望も統率力も、今の俺にはまだ足りない。
俺一人では何も出来ない。
俺みたいな者が国の上に立つことに皆不安があると思うが......でも付いてきて欲しい。
俺と共に、この国を育てて行って欲しい」
いつもと違った、少し立派な真新しい服。王らしい様相。
王として、国の上に立つ者としてこの場に立つライル。
だが沸き上がる歓声の中で響くのは、王であると気取らぬそのままのライル自身の言葉。
「敬えとは言わない。
理不尽な命に従えとは言わない。
俺は皆の声が聞きたい。
皆にこの国を変えていく、そして良くしていく権利がある。
皆の声を兼ね備えた未来を現実にしていくことが、王としての役目だと俺は思う。責任だと思う。
もしも俺が王であることで国が荒むというのなら、その時は潔く責任を取ろう。
―――この国の未来は俺の手の中だけじゃない。
皆の手の中に在る!」
ッ。
天高くに突き上げられる拳。
天からの光に照らされて煌々と光る彼の青。蒼。
この場に居る誰もが見入るように、吸い寄せられるようにその青と天を見詰める。
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