そうであるのに。
ロキはその皆の予想を裏切り、今もまだ彼等と共に居た。
それも誰かの命じゃなく、ロキ自らの意思で。
彼は自らの意思で、彼等と仲間であることを望んだ。
共に生きていくことを望んだ。
「ロキちゃんの鬼ー、人でな―――」
「.......言い忘れていたが、お前を連れ戻すためなら手段は選ばなくてもいいという命だ」
「へ?」
ッ。
そう言うロキの手には何時の間にか短剣の煌めき。
一体何処から出したのやら。
しかも彼は冗談を言うタイプでもなく、顔は一切の笑いも無い真顔であるので尚更に物騒である。
「ちょちょちょっ.....ちょと待った!待った!
連れ戻しに来た仮にも主賓のこの俺に、それはまずいんじゃないかなぁ。
うん、それはまずいぞ。ロキちゃん。
俺が戻らないとそれなりだけど困るんだろ?
な、穏便に行こうか。穏便に」
.......ッ。
思いっ切り焦りまくるジェイドに、ロキは無言で短剣をしまう。
「もう一度言うが、もう式典はとっくに始まっている。
判ったのなら、行くぞ」
「はいはーい」
性格が根本的に違う二人もまた、今は本当の仲間。
真逆の性格。
だがこの二人は実は一番お似合いで実は一番気が合っているのだということは、もう誰もが知っている事実である。
ッ。
そう促して踵を翻すロキにジェイドもその後を追う。
最後にもう一度弔いの花を一瞥し、誰も居ない大地にヒラリと手を振った。
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