「お前もそっちで祝ってくれ?
こんなめでたい日は、早々あるもんじゃぁないからな。
これから世界は変わる。
変えていく」
自分自身に言い聞かせる意味も込めて言った。
「.................こんなところで何をしている?」
一人大地に言葉を落とすジェイド。
そんな彼に不意に掛かる背後からの声。
それは感情無く淡々とした声だった。
「うっわ!」
背後を取られていたことに気が付いていなかったジェイドは、彼らしくもなく本気で驚いたように飛び上がる。
飛び上がった拍子に危なく地面に自ら置いた弔いの花を踏んでしまいそうになるが、それは成るまいとギリギリで体勢を整えて避けた。
「出たな、ロキちゃんっ!
あのさ......どうしてロキちゃんはいつもそう気配が無いわけ?
びっくりしちゃうでしょ?ほら、俺って見かけを裏切らずに繊細はわけで――――」
「もう式典はとっくに始まっている。
二人の王の命によりお前を連れ戻しに来た。
例えお前のような者であろうと仮にも主賓。
居なくてはそれなりに困る」
「って、また完全に無視するー。
しかも繊細なこの俺に傷付くようなことをまたサラリと。
ロキちゃんの意地悪ー。
俺泣いちゃうよ?」
もう一人、ジェイドと同じく今のこの世界で英雄と称えられるロキ。
そんなロキはいつも通りの冷めた瞳と業務的な淡々とした喋りで、相も変わらずジェイドの言葉を完全に素通りして用件を述べる。
ロキもまた三年前の戦いの終結よりずっと、ジェイド同様にシエラやライル達と世界の復興のために動いていた。
戦いの中共に剣を取り命を懸けた仲だが、彼は始めただ自分が唯一信頼を置くジスの命によりその命に従い力を貸すという意識しかなかった。
仲間だからというそんな意識は、根本から持ち合わせていなかった。
だから正直言えば、あの戦いの終わりが縁の切れ目でロキは離れていってしまうものだと誰もが何処かで思っていた。
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