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そこは無数にある大地の傷跡のその一つ。
抉られた大地のクレーターの真ん中に、見慣れた彼の金髪が見えた。
ゴクリと息を飲んだ。
一瞬だけ思考が止まった。
そして......気が付いた時にはジェイドは彼の元へと飛び降り駆けていた。
彼の名を叫んだ。
すると、倒れる彼の金色の髪が微動した。
反応があった。
彼は生きていた。まだ、その心臓は動いていた。
ジェイドは見落としてしまいそうなその微動を捉え、倒れるその彼の身体を抱え起こす。
すると微かに呻く声。
ゆっくりと微かに開かれるエメラルド色の瞳。
".............兄.....貴?"
弱々しいあの声は忘れられない。
ジェイドの姿を捉えた彼は―――キトラは、彼が求め焦がれた人の名を呟く。
キトラには現実を見ているという意識は無かったかもしれない。
あの時の......意識は薄れ最期の力を振り絞り瞳を開けた彼にとっては、まるで夢だったのかもしれない。
会いたい人に、会いたい兄貴にジェイドに会えた。
最期に会うことが出来た。
此処は戦場。
だが恐れていたような敵としての再会ではない。
こんなに嬉しいことは無い。
キトラは、笑っていた。
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