mirage of story










先鋭部隊の一員であったキトラも、当然三年前の戦いの最中に武器を手に取り戦場に居たのだ。

終末こそ魔族と人間は手を取り合い闇に支配されたロアルの陰謀を討ち果たした。
だがあの戦いは本来魔族と人間の間に続いていた戦いの決着をつけるための戦い、最後の戦いとなるはずだった。






キトラは魔族側として。
そしてジェイドはシエラ達と共に人間側として。

キトラが兄と慕い続けた相手は、殺すべき敵。




同じ戦場の上で出逢えば、二人は敵同士。
戦わねばならない。


この時のキトラの気持ちは果たしてどのようなものだったか?

だがそれでもキトラはあの時あの戦場で、もう一度ジェイドに―――もう一度兄貴に会ってちゃんと話がしたいと願っていた。












"ドオォンッ!"


だが、そんな彼の想いも引き裂く闇の音。

戦いはすでに魔族と人間の下らない争いなどではなくて、世界と人の存続を掛けた戦いへとその姿を変えた。
もはや、魔族と人間の境など無くなっていた。





闇が世界を壊し始め、シエラとライルが仕組まれた運命と隠された事実に気が付き再会を果たした。
戦いのため進軍していた両軍が互いの過ちに気が付き結束をした。


竜に呼び寄せられて対立していた両者が一つに会した時に、彼の......キトラの姿は無かった。















「――――ほら、見て見ろよ。

今はまだ世界はボロボロのまんまだが、確かに此処に世界は存在している。
これからきっと嬢ちゃん達が.......新しい国王さん達が世界を再生させてくれる。


もう戦いは起こらない。
あの二人が絶対にもう起こさせやしない。

もう意味もなく、魔族だとか人間だとかそんなちっぽけなプライドのために戦わなくてもいいんだぜ?」








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