〜1〜








闇が破滅を導いた世紀末は、闇に打ち勝った人の勝利で終わった。


戦いが終わった世界は見るも無惨にその地は穴だらけ。
戦場となった彼の地だけではなくて、世界全体が劇的な程の被害を受けた。


世界全体がもう、少し前の世界ではなかった。





だけれど。

だけれどそれでも、人はそんな中を生きている。
世界の上に、この大地の上に生き残っている。


それはせめてもの救いにして、最大の救いだった。





長く続いていた人同士の―――人間と魔族の間の戦争も完全に終結された。

双方が互いの過ちに気付き、この壊れてしまった世界を共に築き直して行こうと手を取り合ったのだ。
彼等の間に出来た深い溝は、徐々にではあるが埋めていこうと彼等自身で決めたのである。




















「新国王万歳!」


「女王陛下万歳!」




世界の終局から、三年という月日が過ぎた。

人間と魔族。
二つの間にあった国という隔たりを無くそうといい働きの元、この世界に新しい国が生まれた。



かつての魔族達の大国、旧ロマリア。
そして勢力を失いかけていた人間達の小国。

それらが一つに合わさって、種族の隔たりの無い共和国。
この世界の歴史の中で、最も大きな国の誕生だった。




王は二人。
世界を闇から救った英雄と称えられる幾人のうち、最も偉大とされた者。


国王として皆が名を上げたのは、元魔族側で指揮をしていた若き隊長。
何処の国の王家の血も流れていない彼は、新たな国に新たな血筋を残す。

もう一人、女王として名が上がったは旧ロマリアの本当の王位後継者であった者。
この世界を闇に包み破滅の寸前にまで追い込んだ前王ロアルの国であったため、民の反感を買うと彼女は辞退を申し出たが民達はそれでも彼女の人格を尊敬し彼女を王へと押し上げた。







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