カイム。
暫く声を出せずに居たシエラが、そう言葉をようやく絞り出そうとした。
ッ。
だけれど彼の名前からシエラの口から絞り出される前に、シエラはまた言葉を詰まらせた。
彼の表情に、また声が出なくなった。
「だからせめて、俺は俺という存在に自分の手で決着を着けたい。
最期くらい、自分に出来ることをしたいんだ。
俺という存在を全て使い果たしてでも、貴方を守りたいんだよ」
カイムが言うから。
そう言い、笑うから。
優しく哀しく、彼が笑うから。
何も言えなくなってしまう。
"黙れ、人共。
例え誰であろうと、我を討つなど出来ぬ。
これ以上、戯言をほざくな"
声を出せないシエラの代わりに、完全に闇へと切り替わったロアルの声が遮る。
三人の視線と意識はロアルへと移る。
――――――ッ。
ッ......グラッ。
「!?」
視線をロアルに向けた。
だが、今まで居たはずのその場所にロアルの姿は無い。
気が付けば目の前に、ロアルの漆黒とその手に握られた鈍く不気味で鋭利な輝き。
ッ。
ほんの一時の瞬間で、彼等とロアルとの間に在ったはずの間合いが無くなった。
防ごうと自らの剣を握り直した時には、もうそれ以上の時は残されていない。
完全な闇と化し人という文字の欠片も失ったロアルの斬撃が彼等を襲う。
彼等には、声を出す間すら無かった。
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