mirage of story

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ドオォンッ。

ゴオォオッ!
ドドオォンッ!










".............本当に人というものは、なんと無力で愚かな存在よ"



巨大な黒い竜。
忌まわしき闇色の創黒の竜。

自らが生み出した闇の中で藻掻く人の姿にニタリと浮かぶ醜悪な笑み。
地上を見下ろしその上で呆気なく散っていく人の命に、その笑みは一層に深くなる。











"このような下賤な輩が、この世界にのさばっていたとは.........考えるだけでも腹立たしいことぞ。

我がこの世を離れていた時というのは、それほどまでに長く世界を廃れさせたということか"




散りゆきながらもそれでも自らに向かってくる小さな人の姿に、竜は残酷に笑い幾度も蹴散らす。

その度に人の命がまるで蝋燭の灯火の如く呆気なく吹き消され、地面は大きく抉られる。
人が傷付けられ、人が長年に築き上げてきた世界もまた壊される。



穴だらけの世界。
その世界に散らばるつい数刻前までは人であったはずの屍。

世紀末。
世界の終わり。
人と人が築き上げた世界の終わりへ歩みが加速する。














"愚かな人どもよ。
思い知るがいい、己が犯した罪の重さを。己の無力さを。

そして思い出すがいい。

遥か昔に人が忘れた、古より揺るがぬ世界の道理を!
世界を統べるべきは人ではなく、我等竜であることを!"



ドドオォンッ!
また、沢山の人の命が消える。





"死と滅びを以て、その愚かな存在に聢と刻み込め!"



闇の破壊は止まらない。






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