並ぶ二人の姿。
自分の中にある記憶では、敵味方だった二人。
その二人が隣同士に並び自分と向き合っている現実に、全て悟ってカイムは笑った。
「........よかった。
シエラとライルさんが今こうして一緒に居るってことは、ちゃんと付けられたみたいだね。
シエラのけじめってものが」
そのカイムの笑みは優しくて哀しくて、切なかった。
よかったとそう思う彼の心は本物で、だけれど何処か複雑で。
カイムは自分の心にチクチクと刺さる小さな棘の正体が分からなくて、並ぶ二人を前に一瞬だけ戸惑った。
「やっぱり、貴方は強いよ。シエラ。
出逢った時もそうだったけれど、あの時よりも貴方はもっとずっと強くなった。
........そんな貴方が、俺は好きだよ」
「カイム――――」
戦場にしては静かすぎる空間。
響くカイムの声は、まっすぐにシエラへと向けられる。
好き、照れることもなくごく自然と彼の口から零れたのは愛の告白。
だが言った本人はそれがそんな大それたものだとは気が付いていなくて、シエラを再び前にしての素直な気持ちだった。
「――――今のシエラなら、今立ち向かう闇にだって打ち勝てるかもしれない。
今の貴方なら、出来るかもしれない。
.........でも、貴方にそれはさせられない。
この闇に立ち向かわなきゃならないのは、貴方じゃない。俺なんだ。
俺じゃなきゃ駄目なんだよ、シエラ」
「だったら.......だったら一緒に立ち向かえば―――」
「駄目なんだよ」
「―――っ!」
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