「無駄話はもういい!
そんなことよりも早く答えなさい!カイムの居場所を!」
もう怒りとか憎しみとか、そういうものはとっくに頂点を越えている。
だがそれでも剣を握る手を必死に抑えているのは、ロアルがきっとシエラ達が捜す者の居場所を知っていると感じたから。
ロアルとあの黒き闇の竜を倒すのと並ぶ程に大切なこと。
何も理由を告げることなく、自分達よりも先にこの場所へと一人向かったカイムの居場所をきっとロアルは知っていると思ったから。
だから怒りや憎しみをこれほどに抑えてまでも、まだロアルに斬り掛かりはしなかった。
「ハハッ.......良い眼をしている。
憎しみや哀しみに囚われた闇の宿った眼だ....っ!
―――――そんなに求めずとも、教えてやろうとも。
お前が求める者なら」
フッ。
ロアルの醜悪で残酷な黒い笑みが深まる。
「此処にいる」
「っ!?」
此処。
そんなざっくりとした説明だったが、シエラとライルは目を疑う。
此処と言いスッとロアルが手を翳した場所から、何の前触れも無く人影が現れる。
だがその人影は意識を失っているのかぐったりと力を失い、ロアルの腕の中へと倒れた。
「カイムっ!」
現れた人影に、シエラはその人の名を叫ぶ。
ぐったりと敵の手の中で倒れるその姿。
血の気が一気に引きシエラは思わず剣を投げ出し駆け寄りそうになるが、ライルがそれを止めた。
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