〜3〜
「....凄いよな」
「え?」
剣を片手に握り締めたまま、二人向き合い黙り込む。
そんな二人の間の沈黙を破ったのは、カイムだった。
「.....凄いって、剣が?」
「それもそうだけど、色々さ。
俺なんかより、ずっと凄いと思って」
凄い。それが、少女に対しての印象。
旅をしてこの村に来た少女を、カイムは正直に凄いと思っていた。
そして、剣の稽古の中で毎日のように会話して
少女のことをもっと知って、その思いは増していた。
ずっと心の中で思っていたこのことが、気まずい沈黙に耐えられずに思わず出てきてしまった。
だがそれにしても、我ながら言うタイミングが絶妙なまでにずれている。
少女の戸惑う姿にカイムは心の中で苦笑した。
「全然世界のこととかも知らなかったし、剣の腕だってカイムと比べたらまだまだだよ?
凄いところなんて何にもないよ、私」
少女が疑問の視線を投げ掛ける。
「......俺も魔族を恨んでいる。
出来れば俺も旅に出て、いつかは倒してやりたいとも思うよ。
――――だけど俺には故郷も何もかもを捨てて旅には出れない。俺には勇気がないんだ。
だから、それが出来るって本当に凄い。そう思ってさ」
カイムはそんな少女に笑いかけた。
笑いかけるカイムに、少女は静かに頬笑み返して言った。
「それは違うわ、カイム。
私は故郷も何も捨ててない。
あそこは私がいつか帰る場所なの。
....自分が帰る場所があるからこそ私は頑張れるんだよ」
少女の瞳にカイムが映った。
「....凄いよな」
「え?」
剣を片手に握り締めたまま、二人向き合い黙り込む。
そんな二人の間の沈黙を破ったのは、カイムだった。
「.....凄いって、剣が?」
「それもそうだけど、色々さ。
俺なんかより、ずっと凄いと思って」
凄い。それが、少女に対しての印象。
旅をしてこの村に来た少女を、カイムは正直に凄いと思っていた。
そして、剣の稽古の中で毎日のように会話して
少女のことをもっと知って、その思いは増していた。
ずっと心の中で思っていたこのことが、気まずい沈黙に耐えられずに思わず出てきてしまった。
だがそれにしても、我ながら言うタイミングが絶妙なまでにずれている。
少女の戸惑う姿にカイムは心の中で苦笑した。
「全然世界のこととかも知らなかったし、剣の腕だってカイムと比べたらまだまだだよ?
凄いところなんて何にもないよ、私」
少女が疑問の視線を投げ掛ける。
「......俺も魔族を恨んでいる。
出来れば俺も旅に出て、いつかは倒してやりたいとも思うよ。
――――だけど俺には故郷も何もかもを捨てて旅には出れない。俺には勇気がないんだ。
だから、それが出来るって本当に凄い。そう思ってさ」
カイムはそんな少女に笑いかけた。
笑いかけるカイムに、少女は静かに頬笑み返して言った。
「それは違うわ、カイム。
私は故郷も何も捨ててない。
あそこは私がいつか帰る場所なの。
....自分が帰る場所があるからこそ私は頑張れるんだよ」
少女の瞳にカイムが映った。

