―――。
その次の日から始まる剣の稽古。
毎日のように剣を振るい、関わりが深くなる。
キイィンッ!
向かい合い受けては振るいの繰り返しの毎日。
剣を交える毎に垣間見る彼女。
剣の刃が触れ合う度にカイムは彼女に惹かれていった。
恋心というわけではなくて人として。
彼女の剣の腕は日に日に上達し、カイムの手加減はあるものの同等に渡り合える程の力になっていた。
(....凄いな。
たったこれだけの時間で)
正直、こんなに上達するとは思わなかった。
彼女の心の強さ。
勿論彼女の生まれ持った才能のお陰もあるが、それがこの剣の上達に大きく影響しているのだと思った。
キィンッ!
――――。
彼女は弾かれても弾かれても向かってくる。
単なる運命の巡り合わせでこうして出会った二人に、何時の間にか仲間となる感覚が芽生えていた。
浅かった交わりが、もう消すことが出来ないほどに深いものと化すのが分かった。
「......カイムは何で剣をやっているの?」
「え?」
彼女がこの村を発つ前の日。
もう日課になっていた二人の稽古の中で、彼女は唐突にそう聞いてきた。
「.....何で?
凄くいきなりだけど」
困惑し彼は返した。
彼女は自分の言葉があまりに唐突だったことに気が付き焦る。
あたふたとする彼女の仕草が可愛く見えた。
「え、えっとね!
この村は凄い平和に見えるから。
そんな村で暮らす貴方が剣を覚える必要があったのかなって」
彼女は笑った。
本当に深い意味もなく、単に気になって聞いただけらしい。
「平和、か。
確かに......そう見えるかもしれないな、今の此処を見れば」
何気ない会話。
唐突に出た"平和"という言葉にほんの少しだけ彼は硬直する。
平和。
確かに今、この村はのどかで平和に見えた。
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