mirage of story











ゴオォォッ。


鳴り響き続ける地響きを背に受けながらの、シエラの淡々とした声。

彼女は彼女が知っていて彼がまだ知らないことを、丁寧であってだが簡潔に言葉にした。

















「私達が互いを敵として戦ってきたことも、憎んできたことも――――全部全部、仕組まれたことだった。

私達は今までそのことに気が付かないで、仕組まれた運命をそのまま自分の運命だと受け入れて生きてきたんだよ。


........何にも、その隠された事実を疑いもしないで.....ッ!」





仕組まれたこと。
全部全部、仕組まれた運命。

その言葉を口にした途端、淡々としていた口調から感情が沸々と滲み出してきて口調が荒くなる。




きっと色々な感情が渦巻きすぎて、感情が前面に出てくることが出来なかったのだろう。

淡々としていたその言葉は激しく高ぶりすぎた感情の裏返しだったのかもしれない。














「馬鹿みたいでしょう?
悔しいでしょう?


私、知らなかった。
記憶が戻って、水竜が全部教えてくれるまで何にも。

私達、早くそのことに気が付いていたなら昔みたいなままで居られたかもしれない。
私が貴方を、ライルを憎く思うなんてこと一生を掛けても無かったのに」



「シエラ........」






「ロアルは母さんを殺した。エルザを殺した。
本当の母さんでは無かったけれど、それでもあの人は紛れもない私の母だった!


.......でも、それだけじゃなかった。

アイツが奪ったのはエルザだけじゃない。
私の本当の母さんや父さん、それに沢山の大切な人達を争いで奪った!ルシアスだった私にとってかけがえのないものだった、貴方を奪った!」









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