(この人は人を失う辛さを知っている)
彼女の瞳は哀しかった。
そんな瞳に、己の持つ弱さと同じようなものを見た気がしてならなかった。
自分が剣を教えることで、この少女が少しでもその辛さから解放されることが出来るのか。
もしそうすることが出来るのならば、自分はこの彼女を信じよう。
いや、信じたい。
「分かった。
俺が貴方に剣を教えてあげる―――それがあなたのためになるのなら、俺は教えるよ」
「....!」
彼女の表情が心なしか明るくなった。
目にはまだ涙が残る。
そんな彼女を前に言葉を続けた。
「ただし条件が」
一時の沈黙。
「―――必ず強くなって、目的を果たすこと。
それが条件です。
それが出来るのなら、俺は教えます。
教えさせて欲しい」
彼女の瞳は驚いたように見開かれた。
潤んだ瞳に彼女の水色の瞳の煌きが重なって、凄く綺麗だと思った。
「私、絶対に果たす。
........約束します」
彼女に笑顔が灯った。
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