〜3〜
「............始まってしまったみたいね」
大地が轟音を上げ揺れ始めた。
空が、世界が暗黒に包まれた。
世界が破壊し始めた。
そんな世界の上の何処かで、二つの影は光のベールに包まれ崩壊する世界から隔離された大地の上で暗黒の空を見上げる。
見上げる空には一匹の竜。
暗闇の空と対比して一層に神々しく輝く光の竜が居て、竜はそんな二人を静かに見下ろしていた。
「.......っ」
「っ!?
まだ動ける身体じゃない!
無理をしないでくれ」
崩壊へと動き始めた世界に、二つの影のうちの一つ―――シエラは焦燥感に駆られて横たえていた身体を持ち上げた。
だが、今の彼女の身体はたったそれだけの行為で悲鳴を上げる。
走る痛みにグッと歯を食いしばり、グラリと前に倒れ込んでしまう。
そのシエラの身体をもう一つの影、ライルは優しく受け止める。
ライルの声は心配に揺れる。
その心配は世界の現状ではなくて、腕の中の彼女の身体。
剣を握り続けてきた者特有の固い手の平で、彼女から伝わる温もりをフワリと包み込むように抱き締めた。
「........ありがとう。
でもこれくらい、大丈夫よ」
受け止められた身体に、シエラは底知れぬ安心感を感じた。
懐かしい。
愛しい、恋しいこの温もり。
長い間忘れてしまっていた、大切な彼の温もり。
温かい。
自分を受け止めてくれた彼の胸に、思わず顔を埋めたくなる。
.
「............始まってしまったみたいね」
大地が轟音を上げ揺れ始めた。
空が、世界が暗黒に包まれた。
世界が破壊し始めた。
そんな世界の上の何処かで、二つの影は光のベールに包まれ崩壊する世界から隔離された大地の上で暗黒の空を見上げる。
見上げる空には一匹の竜。
暗闇の空と対比して一層に神々しく輝く光の竜が居て、竜はそんな二人を静かに見下ろしていた。
「.......っ」
「っ!?
まだ動ける身体じゃない!
無理をしないでくれ」
崩壊へと動き始めた世界に、二つの影のうちの一つ―――シエラは焦燥感に駆られて横たえていた身体を持ち上げた。
だが、今の彼女の身体はたったそれだけの行為で悲鳴を上げる。
走る痛みにグッと歯を食いしばり、グラリと前に倒れ込んでしまう。
そのシエラの身体をもう一つの影、ライルは優しく受け止める。
ライルの声は心配に揺れる。
その心配は世界の現状ではなくて、腕の中の彼女の身体。
剣を握り続けてきた者特有の固い手の平で、彼女から伝わる温もりをフワリと包み込むように抱き締めた。
「........ありがとう。
でもこれくらい、大丈夫よ」
受け止められた身体に、シエラは底知れぬ安心感を感じた。
懐かしい。
愛しい、恋しいこの温もり。
長い間忘れてしまっていた、大切な彼の温もり。
温かい。
自分を受け止めてくれた彼の胸に、思わず顔を埋めたくなる。
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