「..........俺は貴方をどれだけ求め捜したことか。
ずっと、俺は貴方にもう一度会いたかった。
こんな再会の仕方を、決して望んだわけではないけれど」
キイィンッ。
紅い影は―――カイムはそう言い、空に浮かぶ彼等を見据えたままに腰に携えた剣を抜く。
言う声は穏やか。
カイムは目の前に広がる非現実的なはずの光景を、至極冷静に全てを悟っているような瞳で見つめていた。
「父さん」
(何.....故――――)
小さい声。
だがはっきりと聞こえるその声に、意識の奥のロアルは呆然と言葉を漏らした。
(何故私が........父であることを知っている?)
隠していたはずだった。
彼は知らない、そのはずだった。
まだ彼が幼い頃に彼と別れてから、自分が彼の父であるということを知られぬように生きてきた。
闇に囚われた自分を見せたくなくて、彼には何も背負わせたくなくて。
彼を傷付けたくなくて真実を隠し偽り、今のこの時まで―――出来ることなら全て終わってしまうまで知らないままにさせるつもりだった。
(なのに、どうしてお前はこの父の存在を知っているのか.......)
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