その声に振り返る多くの影。
同じ統一された制服を着ている皆、つまりは彼等がキトラにとっての仲間であることを示していた。
「どうした?」
走ってくるキトラに、振り返る人影の一つが声を上げる。
だがそれは、キトラの目的の人ではない。
「えっと.....あの、隊長は?」
キトラは自分に視線を送る人集りの中までやってきて、足を止め辺りを見回した。
目的の人。隊長。
キトラはライルの特徴的な青みがかった髪と、鋭い青色の瞳を大勢の中から捜す。
彼は隊長。
この戦い、自分達を勝利へと導く指揮官。
そして此処はこの戦いでの自分達魔族の中枢。
絶対にこの場所に彼は居るはずなのだが。
幾ら捜せど、目的の青の気配はない。
「...........隊長は、此処には居ない」
あるはずの人の姿を捜し、辺りを見回すキトラ。
そんなキトラに掛けられるのは、多少の沈黙の後のそんな言葉。
「え、隊長が居ないってどういうこと?」
「.........隊長は動かない戦況を変えるべく、一人前線に向かった。
だから、此処には居ない」
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