〜5〜
そこは静まり返っていた。
夜が明け陽が昇り、光が大地を照らし始めた。
自然の大地。
普通なら静かに太陽に照らされて、また夜が訪れるのを待つのが昔からの条理なのだが、今のそこは訳が違う。
「.........敵の姿が、無い」
そう、そこはもはや自然の大地ではない。
そうそこは、此処は戦場。
穏やかで静まり返った時などとは無縁の、地と罵声と断末魔に汚され満たされた大地。
そんな戦場での静けさというものは、不気味なもの以外の何者でもない。
「情報ではもって沢山の敵がこっちへ流れてきてもおかしくないのに......。
何か、何かあったのかな?」
静まり返った不気味な戦場には、ただ立ち竦む兵士達の姿。
敵味方入り交じっている訳ではなく、味方だらけの気の抜けた状況だった。
そんな中で戦場に生えた数少ない木の上から、弓を片手に遠くを見つめる一人の兵士が呟く。
「隊長からも何の指示も報告も無いし。
一体どうしたんだろう?」
エメラルドグリーンの瞳に一つに結われた金髪のまだ顔に幼さが残る一人の兵士。
.......つまりはキトラは、遠くを見つめたまま途方に暮れたような溜め息をついた。
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そこは静まり返っていた。
夜が明け陽が昇り、光が大地を照らし始めた。
自然の大地。
普通なら静かに太陽に照らされて、また夜が訪れるのを待つのが昔からの条理なのだが、今のそこは訳が違う。
「.........敵の姿が、無い」
そう、そこはもはや自然の大地ではない。
そうそこは、此処は戦場。
穏やかで静まり返った時などとは無縁の、地と罵声と断末魔に汚され満たされた大地。
そんな戦場での静けさというものは、不気味なもの以外の何者でもない。
「情報ではもって沢山の敵がこっちへ流れてきてもおかしくないのに......。
何か、何かあったのかな?」
静まり返った不気味な戦場には、ただ立ち竦む兵士達の姿。
敵味方入り交じっている訳ではなく、味方だらけの気の抜けた状況だった。
そんな中で戦場に生えた数少ない木の上から、弓を片手に遠くを見つめる一人の兵士が呟く。
「隊長からも何の指示も報告も無いし。
一体どうしたんだろう?」
エメラルドグリーンの瞳に一つに結われた金髪のまだ顔に幼さが残る一人の兵士。
.......つまりはキトラは、遠くを見つめたまま途方に暮れたような溜め息をついた。
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