グイッ。
そう言うと、ジェイドさんはハハハッと笑いながら俺の頬を思いっきりつまみ上げた。
頬をつまみ上げられた顔は無理矢理な笑顔に。
しかも力が容赦無いので、結構痛かった。
「お取り込み中のところに失礼致します!
船室にてジス殿がお二人のことをお待ちです。
ご案内致します故、付いて来て下さい」
船の先。
甲板での俺達の会話。
甲板の柵の外にフッと目をやれば、湖の水面はキラキラと飛沫を上げ、船の通った跡が波となってゆらゆら揺れる。
そしてそんな俺達に船員の一人が、少し遠慮がちにそう声を掛ける。
「はいよ!」
「はい」
俺とジェイドさんは、口々に同じような答えを返す。
ジェイドさんは俺の頬を引っ張るのを止めて俺達を呼びに来た船員の後を付いていき、俺もその後を追い掛ける。
タッタッタッタッ。
少し小走りで後を追い掛けると、船上の奥の方にある一枚の扉の前へ。
そしてその扉を数回のノックと共に船員が開けると、そこにはジスさんとロキさんが居た。
「ジス殿、お二人をお連れいたしました」
「ご苦労だったな。
もう下がっても構わんよ」
.

