「そうさ、嬢ちゃんならきっと―――大丈夫さ。
案外今頃、過去を思い出して二人打ち解けてライルといい感じになってるかもしれないぜ?
......おっと、それじゃあお前が困るか!」
ジェイドがふぅっと気分を入れ換えるように大きく息を吸い、ふざけたようにカイムを振り返り言う。
「それは.......困りますね」
そんなジェイドカイムは、少しだけ間を置いてフッとふざけたように笑い返して答えた。
カイムは焦った反応を見せるかとジェイドは期待していたようで、予想とは違うその反応に驚いた表情になる。
だがそれもほんの一瞬で、すぐにニカッと笑い二人顔を見合わせ笑い合った。
「出航するぞ!」
ギギギ.....ギイィィッ。
甲板で笑い合う二人の元に、そんな声が聞こえた。
そして船が一回ガタリと動き、それからゆっくりと水面の上を走り始める。
「さぁて、と。
いよいよ出航するみてぇだな」
「そうですね」
ザバンッ。
船が湖を掻き分ける。
これで半日、水面を切り走れば目的の場所に着く。
今は太陽が在るが、きっと着くのは太陽が地平線に沈んだ夜だろう。
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