〜2〜
汚れた決意と共に戻る現実。
やはり、彼女は居ない。
辺りには火の粉と煙を散らして燃える炎が取り巻く―――そのはずなのに、彼女の居ないこの世界は彼には非常に冷たく感じられた。
「人間は俺たちにとって敵以外何者でもない。
......勿論お前もだ」
静かで冷たく、でも熱を帯びる声。
彼女は思わず胸に掛けた鎖で繋いだ指輪を握り締めて手に取る。
握り締めた指輪は金属の冷たさを失い、彼女の体温と同化する。
指輪の硬い感触が、彼女の柔らかい手の平にジワリとめり込む。
........。
シエラは言葉を発することが出来なかった。
そんな彼女の様子。
何も言えない彼女に彼は言う。
「一つ聞きたいことがある。
正直に答えろ。その指輪を持ってるその意味を問いたい。
.......お前がルシアスを殺したのか?」
静かな、でも真剣な声。
蒼い瞳は真っ直ぐシエラを捉えて逃がさない。
「......私....」
体が動かない。
まるで金縛り。
あの蒼い瞳に囚われた彼女は指一本さえも動かすことが出来なくなって、身体は彼女の意思と切り離されたように微動さえしてくれない。
「答えろ」
問い詰める声にもう何も分からなくなった。
辺りから全ての音が消え失せ沈黙が支配する。
沈黙の耳鳴りで耳が痛む。
「無駄だ」
沈黙の果て。
破るは第三者。
ロアルは不気味な笑みを浮かべ、冷酷に見る。
「もうよいだろう?
この娘は敵、我等が姫を手に掛けた敵ぞ」
「ッ!」
――――。
彼は感情を押さえ込めるように自らの胸元を握り締め目を閉じる。
グッ。
力を込める手の平に何かの感触が伝わるが、それは彼にしか分からない。
(―――ルシアス)
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汚れた決意と共に戻る現実。
やはり、彼女は居ない。
辺りには火の粉と煙を散らして燃える炎が取り巻く―――そのはずなのに、彼女の居ないこの世界は彼には非常に冷たく感じられた。
「人間は俺たちにとって敵以外何者でもない。
......勿論お前もだ」
静かで冷たく、でも熱を帯びる声。
彼女は思わず胸に掛けた鎖で繋いだ指輪を握り締めて手に取る。
握り締めた指輪は金属の冷たさを失い、彼女の体温と同化する。
指輪の硬い感触が、彼女の柔らかい手の平にジワリとめり込む。
........。
シエラは言葉を発することが出来なかった。
そんな彼女の様子。
何も言えない彼女に彼は言う。
「一つ聞きたいことがある。
正直に答えろ。その指輪を持ってるその意味を問いたい。
.......お前がルシアスを殺したのか?」
静かな、でも真剣な声。
蒼い瞳は真っ直ぐシエラを捉えて逃がさない。
「......私....」
体が動かない。
まるで金縛り。
あの蒼い瞳に囚われた彼女は指一本さえも動かすことが出来なくなって、身体は彼女の意思と切り離されたように微動さえしてくれない。
「答えろ」
問い詰める声にもう何も分からなくなった。
辺りから全ての音が消え失せ沈黙が支配する。
沈黙の耳鳴りで耳が痛む。
「無駄だ」
沈黙の果て。
破るは第三者。
ロアルは不気味な笑みを浮かべ、冷酷に見る。
「もうよいだろう?
この娘は敵、我等が姫を手に掛けた敵ぞ」
「ッ!」
――――。
彼は感情を押さえ込めるように自らの胸元を握り締め目を閉じる。
グッ。
力を込める手の平に何かの感触が伝わるが、それは彼にしか分からない。
(―――ルシアス)
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