「これ…一昨日の…」
その書類は、私が半分作成して、もう半分は誰かもわからない人が作成した書類だった。
でも、どういう意図でこれを渡されたのかがわからない。
書類から榊さんに視線を移すと、榊さんの切れ長の目が私を見据えていた。その目は恐ろしく冷たい。
「これは及川さんが作成したんですか?」
「えっと…それは…」
月の始めには、社員全員に必ず口酸っぱく言われるコンプライアンスのことを思い出し、呼び出された理由を悟った。
一部の課は除くが、社外にデータを持ち出さない、他人のI.D.でログインしない、もしくは業務を行わない行わせない、離席する際のパソコンのログオフの徹底などの様々なコンプライアンスが挙げられている。
言い訳と謝罪が頭の中で飛び交うけれど、なんて説明していいのかわからない。言葉に詰まる。
「答えられないのなら質問を変えます。及川さんはいつもああやって居眠りをしているのですか?」
いつもじゃないって言いそうになったけど、頻度の問題じゃない…
「はい、すみません…」
確かに居眠りしていたことは事実だから謝罪するしかないし、もう榊さんの顔なんて見られたもんじゃなかった。新人の頃に怒鳴られていた方がまだマシな気がした。
今はただ淡々と、冷たい。
「正直ですね。居眠りについては人間の生理的欲求ですからね、不毛にします。でもこれは」
そう言って、榊さんは私の手から書類を奪い取り、その場で半分に破いた。
「これはコンプラ違反にあたります。今日中に作成し直してください。課長には私から上手く言っておきます。ですので、作成し終えてもし終えなくても、ここに直接報告に来て下さい。」
書類関係は、まずは部長を通すのに…
「課長に確認して頂いてからですか?」
「…違います、直接私にです。」
…今何時だっけ?確か14時くらいだったと思う。今から通常業務を終わらせて、またアレを1からやり直し…?
その書類は、私が半分作成して、もう半分は誰かもわからない人が作成した書類だった。
でも、どういう意図でこれを渡されたのかがわからない。
書類から榊さんに視線を移すと、榊さんの切れ長の目が私を見据えていた。その目は恐ろしく冷たい。
「これは及川さんが作成したんですか?」
「えっと…それは…」
月の始めには、社員全員に必ず口酸っぱく言われるコンプライアンスのことを思い出し、呼び出された理由を悟った。
一部の課は除くが、社外にデータを持ち出さない、他人のI.D.でログインしない、もしくは業務を行わない行わせない、離席する際のパソコンのログオフの徹底などの様々なコンプライアンスが挙げられている。
言い訳と謝罪が頭の中で飛び交うけれど、なんて説明していいのかわからない。言葉に詰まる。
「答えられないのなら質問を変えます。及川さんはいつもああやって居眠りをしているのですか?」
いつもじゃないって言いそうになったけど、頻度の問題じゃない…
「はい、すみません…」
確かに居眠りしていたことは事実だから謝罪するしかないし、もう榊さんの顔なんて見られたもんじゃなかった。新人の頃に怒鳴られていた方がまだマシな気がした。
今はただ淡々と、冷たい。
「正直ですね。居眠りについては人間の生理的欲求ですからね、不毛にします。でもこれは」
そう言って、榊さんは私の手から書類を奪い取り、その場で半分に破いた。
「これはコンプラ違反にあたります。今日中に作成し直してください。課長には私から上手く言っておきます。ですので、作成し終えてもし終えなくても、ここに直接報告に来て下さい。」
書類関係は、まずは部長を通すのに…
「課長に確認して頂いてからですか?」
「…違います、直接私にです。」
…今何時だっけ?確か14時くらいだったと思う。今から通常業務を終わらせて、またアレを1からやり直し…?
