だから、お前なんて。



「そうなんだ。嬉しくないの?」


「嬉しいよ。でも春瀬のこと全然わかんない」


「そのままだと思うけど?」


「だって別れて清々してるって言われたんだよ?なのになんで優しくするの?わたし、また騙されてるのかな」



騙されている、そんなこと言っている時点でどこかでまだあの日別れを告げた春瀬を信じていたい自分がいるのかもしれない。


本当にどこまでもわたしはバカで、春瀬のことがどうしようもなく好きなんだ。



「はあ〜またあんたら何してんだか。どういうことか本人に聞きに行ってきたら?」


「え?無理だよ。そんなもう付き合ってもないのに」


「じゃあ今、杏彩は春瀬くんに会いたくないの?お礼言いたくないの?自分のためにわざわざ濡れて帰ってくれて風邪を引いた彼を見放すの?」

「み、見放すって……」


「ほら、会いたいの?会いたくないの?」


「あ、会いたいけど……」


「じゃあ、決まりね。今日の放課後、いってらっしゃい」


「無理だって!無理無理!」