「なに?」
「お前さ、また柏木といたの?」
「っ、なんで知ってるの」
春瀬はあのときバスケをしていたはず。
なのになんでわたしが柏木くんといたことを知っているの?
「見たやつが言ってた。『やっぱりアイツら付き合ってんじゃねえか』って」
ジリジリとこちらに向かって詰め寄ってくる春瀬。
「み、見間違いじゃない?」
「お前、バレたらどーすんの?」
「バレるもなにも、もう何もないし」
「お前は甘いんだよ」
「なによ!春瀬には……春瀬には関係ないでしょ!?」
もう、あんたは他の女の子といるんだから。
わたしのことなんてもうどうでもいいくせに。
牧野さんみたいな可愛い子があんたにはお似合いだよ。
「またお前、泣くだろ」
「えっ……?」
「まあ俺には関係ないし、どうでもいいけど。お前みたいなやつ放っておいてさっさと帰るわ」
そう言うと、わたしから離れていき、それからタイミングを見計らっていたかのように角から牧野さんが出てきてふたり仲良さそうに歩いている。



