捨てて正解、そうさっき言われたんだもん。
───……わたしは、春瀬と別れてすごく苦しいよ。
そんな本音はしまい込んで、奥深くに眠らせた。
本当は言いたい。
だけど、本人を目の前にするとどうしても言えない。
思っていることと反対のことが言葉になって君に届いてしまう。
春瀬みたいな人には牧野さんみたいな可愛い人がお似合いなんだよ。
そんなモヤモヤとした気持ちを抱えたまま、球技大会はみんなの頑張りの甲斐あって優勝という結果で幕を閉じた。
「じゃあね、気をつけて帰るんだよ!」
「ありがとう。千里も部活頑張ってね!」
教室で千里とバイバイしてから少しして「おい」と聞き覚えのある声が耳に届いた。
後ろを振り返ると、そこには春瀬がダルそうに、偉そうな顔をして立っていた。
今日一日、ほぼ体操服姿しか見ていなかったから制服を着ている春瀬に少し胸を高鳴らせている。
やっぱり、春瀬は制服のほうがいいよ。
なんて、なに思ってんのわたし。



