だから、お前なんて。




春瀬を視界に映すとまるで世界に星が降っているようにキラキラと輝く。

きっと、それが恋ということなんだと思う。

わたしのものになればいいのに、そんな想いが日に日に強くなっていっている。


春瀬がパスをもらい、ボールをドリブルしてそのままゴール付近まで行き、シュッとボールをリングめがけて放ち、ボールは弧を描くようにリングに綺麗にはいった。


わあ!と湧く体育館。

わたしも思わず、拍手をしていた。



「すごいよ〜〜!春瀬くん!」

「かっこいい!環!」



女の子たちが口々に春瀬に言葉を投げかけている。

むかつく。

そんな気持ちとともにわたしの中に広がっていく黒い感情。



「さすが、環!」


どさくさに紛れて下の名前を呼んでもきっと春瀬には届かないと判断したわたしは久しぶりに彼の名を口にした。


案の定、春瀬は気づかず、それどころか振り向きもせずに友達のところに行ってしまった。


久しぶりに君の名前を呼んで、心の奥にしまってある君への気持ちがぶわっと溢れだしてしまいそうで、なんだかとても恥ずかしい気持ちになったのはわたしだけだったみたい。