だから、お前なんて。



いつも、こうやって優しく声をかけてくれて、不安なとき、辛いときになっているときは絶対気づいてくれて、あたしを励ましてくれた。

その優しさにあたしはどっぷりハマっていた。

ああ……なんであたしはまた思い出してるの?


「……あんたにはもう関係ないよ」

「そうだな。
あずちゃんは俺のこと嫌いだもんなー」

「……分かってるなら聞かないで」


嫌いだよ。

余裕そうな笑みも
何もかも見透かしたようにみる瞳も。


「俺ね、あずちゃんの泣き顔に弱い」

「……え?」


そう言うと彼はあたしの体を
ぎゅっと優しく包み込んだ。

あたし……抱きしめられてる?


「言っとくけど、
他の女の子にはこんなことしねぇよ」

「嘘ばっかり……」


あんたの噂はイヤでも耳に入ってくるんだから。
特定の女の子を作らずに遊んでるって。